秋の特別展示
白銀 of 岩峰 and 秋の色彩
甲斐駒ヶ岳。その山頂を彩る白い花崗岩と、山肌を優雅に染める紅葉が、深く澄み切った「南アルプスブルー」の空の下で出会う、秋という奇跡の季節。
その魅力を探る甲斐駒ヶ岳について
秋にだけ見せる、峻険なる岩峰の「素顔」
南アルプスの北端に毅然とそびえ立つ甲斐駒ヶ岳(標高2,967m)。日本百名山の中でも、その圧倒的な存在感と美しさから「南アルプスの貴公子」あるいは「東の横綱」と称されます。
山頂一帯を覆う真っ白い花崗岩(かこうがん)は、まるで一年中雪を戴いているかのように輝き、見る者を圧倒します。特に秋、9月中旬から11月上旬にかけては、山麓から中腹にかけてダケカンバの黄金色、ナナカマドの燃えるような朱色が押し寄せ、白い山肌と鮮烈な対比を描き出します。
夏の喧騒が去り、ひんやりとした静寂が戻ってきた秋の甲斐駒ヶ岳。澄み切った空気の中でしか味わえない極上の山行が、ここにあります。
「白い花崗岩と赤や黄色の紅葉、精度高き青空が織りなすコントラストは、まさに南アルプスの秋の極みである。」
秋を彩る3つの情景
白銀と紅葉のコントラスト
山頂にむき出しになった真っ白な花崗岩の岩肌。その白さを縁取るように、中腹からダケカンバの純金色の森と、ナナカマドの燃えるような深紅が広がります。他の山にはない、甲斐駒ヶ岳ならではの鮮烈な色彩美です。
澄み渡る「南アルプスブルー」
秋は夏の湿った空気が抜け、大陸からの乾いた高気圧に覆われるため、大気の透明度が最高潮に達します。宇宙の底を覗き込むような、深く吸い込まれそうな青空「南アルプスブルー」に、白い巨峰が神々しく突き刺さります。
信仰の山に宿る秋の静寂
古くから山岳信仰 of 対象とされてきた甲斐駒ヶ岳。静かな秋風が木々を揺らす中、かつて修行僧が辿った黒戸尾根の登山道脇には、苔むした数々の石碑や石仏、祠が佇んでいます。冷ややかに張り詰めた秋風が歴史の深さを感じさせます。
秋の登山ルート案内
北沢峠ルート
黄金色のダケカンバと大石海のゴーロ地帯を歩く
長野県側または山梨県側から林道バスで「北沢峠」までアプローチし、そこから山頂を目指す主要なルートです。仙水峠を経由するコースは、なだらかな樹林帯から巨大な岩が重なるゴーロ地帯へと目まぐるしく景色が変化し、ダケカンバの紅葉が美しく映えます。
秋の推奨モデルプラン
北沢峠 (標高2,032m)
静かなブナの森を進みます。ひんやりとした朝の空気の中、登山を開始します。
仙水小屋 (標高2,130m)
沢沿いの緩やかな道を抜け、ここから徐々に岩がゴロゴロした「ゴーロ地帯」に入ります。頭上には黄色の天井が広がります。
仙水峠 (標高2,264m)
見渡す限りの大石海(ゴーロ)が広がる峠。目の前にそびえ立つ甲斐駒ヶ岳の白い摩利支天と、周囲の紅葉のコントラストに息を呑みます。
駒津峰 (標高2,752m)
ここから森林限界を超え、稜線歩きへ。360度の大パノラマが広がり、秋の澄んだ空に北岳や仙丈ヶ岳がくっきりと浮かび上がります。
甲斐駒ヶ岳山頂 (標高2,967m)
真っ白な花崗岩の砂と岩の世界。祠が佇む頂からは、富士山や八ヶ岳、北アルプスまで見渡す秋の絶景が広がります。
黒戸尾根ルート
日本三大急登に挑み、紅葉のグラデーションを味わい尽くす
竹宇駒ヶ岳神社(山麓)から標高差約2,200mを一気に駆け登る、極めて険しく歴史あるクラシックルートです。体力的には非常にハードですが、麓の深い緑から、中腹の朱、山頂部の白へと移り変わる「紅葉のグラデーション」を身体全体で実感できる贅沢な道です。
秋の1泊2日推奨プラン
竹宇駒ヶ岳神社 (標高770m)
名水百選・尾白川の清流を吊り橋で渡り、黒戸尾根の急登がスタートします。麓はまだ青々とした静かな秋の森です。
刃渡り (標高1,900m)
両側がすっぱりと切れ落ちた岩尾根の難所。遮るもののない岩の上からは、秋晴れの八ヶ岳や富士山が見事に望めます。
七丈小屋 (標高2,400m)
通年営業の頼れる山小屋。夕刻には鳳凰三山の向こうに昇る見事な秋の月や、満天の星空を楽しみ、明日のアタックに備えて休みます。
八合目御来迎場 (標高2,690m)
ご来光を拝みながら、垂直に近いハシゴや鎖場を慎重に越えていきます。鳥居と2本の巨大な石碑がそびえる厳かなスポットです。
甲斐駒ヶ岳山頂 (標高2,967m)
澄んだ秋の朝、誰よりも早く白い頂へ。360度の遮るもののない大パノラマと、冷たい秋の風が達成感を極限まで引き立てます。
秋の甲斐駒ヶ岳・ルート診断
あなたに最適な秋の甲斐駒ヶ岳登山ルートを診断します。3つの質問に直感でお答えください。
Q1. あなたの最近の登山経験はどれくらいですか?
Q2. 今回の秋の登山に求める最大のテーマは?
Q3. 岩場や高所(ハシゴ・鎖場)に対する意識は?
秋山登山の準備と注意点
秋の特別装備リスト
防寒着(フリース・ダウン・保温下着)
10月の山頂付近は日中でも気温が氷点下近くまで下がることがあります。風を防ぐアウターに加え、暖かいダウンや防風フリースが必須です。
ヘッドランプ(予備電池も携行)
秋はつるべ落としと言われるように、急速に日が暮れます。予定が少しでも遅れた場合に備え、ライトの持参と事前の動作確認は絶対です。
手袋・ニット帽(防風・保温性)
岩場を登る際の金属製の鎖やハシゴは秋には凍りつくように冷たくなります。防風性と滑り止め付きの暖かい手袋が重宝します。
秋ならではの安全注意
早出早着の徹底(15時行動終了)
秋の山は17時には真っ暗になります。15時には目的地(山小屋やバス乗り場)に到着できるよう、日の出前の出発を計画してください。
マイカー規制とバスの秋運行ダイヤ
広河原・北沢峠へのマイカー規制は秋も継続されます。また、秋の時期はバスの運行本数が減るため、時刻表を事前に必ずご確認ください。
急激な天候変化と「冠雪」の可能性
10月後半になると、南アルプスにも初冠雪の可能性が浮上します。雨予報が山の上では雪やみぞれになるため、事前に直近の状況を確認してください。